2010年8月9日付

住民主権の県政全力　阿部氏
　阿部派の支持者約４００人は長野市のホテルメトロポリタン長野に、午後８時ころから集まった。一進一退の途中経過が届く中、午後10時40分ころ、テレビで当選確実が報道されると会場は拍手で満ちた。駆けつけた阿部氏を迎え、「阿部コール」が響いた。阿部氏は「心から感謝を申し上げます。多くの県民とお会いする中で多くの力をいただいた。県民の暮らしをしっかり守る、新しい県民主権の長野県政を全力で作ります。これからがスタート、力を合わせ、県民の声が形になる長野県をつくりたい」とあいさつ。インタビューに「田中県政の目指した方向性は支持されたが、手法は異論があった。大勢の県民の声に耳を傾け県政運営したい。愛する長野県を元気と活力、安心して暮らせる県にしたい」と答えた。樽川通子事務長は「信州に新しい時代が参りました。信州の夜明け。阿部知事とともに、県民こぞって素晴らしい長野県をつくりたい」と喜びを述べた。

県知事に阿部氏初当選　腰原氏わずかに及ばず
　任期満了に伴う長野県知事選は８日、投票が行われ、即日開票の結果、元副知事・前内閣府行政刷新会議事務局次長の阿部守一氏(49)＝松本市＝が36万２９０３票を獲得し、三つどもえの戦いを制して初当選した。接戦を展開した前副知事・元大町市長の腰原愛正氏(63)＝大町市＝は35万７８８２票、、前安曇野ちひろ美術館長・前長野県信濃美術館長の松本猛氏(59)＝安曇野市＝は18万９７９３票で、涙をのんだ。投票率は52・70％。阿部氏は田中康夫知事時代に副知事を務め、総務省の官僚や、横浜市副市長などを歴任。政府の「事業仕分け」などに携わった。民主党や社民党、国民新党の推薦を受け、「時計の針を戻してはならない。県民主権の県政を」と訴え、都市部を中心に支持を固めた。腰原氏は「生粋の長野県人」として、市長や副知事としての豊かな行政経験を生かし、村井県政の継承と発展を掲げて挑んだ。出馬表明が遅く出遅れたものの、自民党・公明党が全面支援し、強い地盤を生かして支持を急拡大。最終盤まで接戦を展開したが、わずかに及ばなかった。松本氏は高齢者や障害者の対策など「弱きものの立場」に立った施策を掲げて論戦。日本共産党の応援を得たほか、団体などによらない幅広い支持を広げようと取り組んだが、食い込めなかった。

松川ふるさと祭り
　松川村の夏祭り・第28回松川ふるさと祭りが７日、同村緑町のイベントストリートを中心に開かれた。年に一回の村一大イベントに、村民や近隣市町村の住民が訪れ、暑さを忘れて、出店や盆踊りでにぎわった。イベントストリート沿いには、村内各区や社会福祉協議会、村議会などがカキ氷や的当て、焼きそばなど多彩な出店が並んだ。群馬県から招いた高崎チンドン倶楽部が祭りを盛り上げるチンドン演奏もあり、親子連れや子どもたちが通りを歩きながらほしいものを品定めしたりと出し物を楽しんだ。メーンステージでは、信濃国松川響岳太鼓による力強い和太鼓の演奏などが行われ、訪れた人たちの目をひいていた。ワハハ本舗の「ポカスカジャン」も来場し、楽器を使いながらなじみのネタを披露し笑いを誘った。あたりが暗くなり始めると、祭りのメーンの「踊りの輪」が広がった。訪れた人たちがやぐらを囲んで正調安曇節などを踊り、夏の夜を満喫していた。

大北の夏彩る
大町のやまびこまつり
　大町市の中央通りで７日に開いたやまびこ祭りで、クライマックスのやまびこ踊りには82組のおどり連が輪をつくり、昨年を３００人上回る３５３２人の参加者が街を練り歩き、盛大に夏の夜を盛り上げた。午後７時に踊り開始の宣言が出されると、流れ出す「やまびこ音頭」に合わせ、地域や職場、サークルなどの仲間同士でつくった連が、歩行者天国の中央通りを「そーれ」「やっほー」と声をかけながら元気に踊っていた。

多くの支援誇りに　腰原氏
　腰原氏陣営は長野市のホテル国際21を開票速報会場に支持者ら約３００人が集まり戦況を見守った。午後10時40分ころ、相手候補の当選確実が伝えられると会場は大きなため息で包まれた。健闘をたたえる大きな拍手のなか会場に姿を現した腰原氏は深々と頭を下げ「こんなに大勢のみなさまに支援してもらえたことを誇りに思う」と感謝し､｢敗れはしたが、新しい長野県をみなさまの力で創り上げていってもらいたい」と言葉をかみ締めた。

県政見守り意見を　松本氏
　松本氏の陣営は、松本市南松本の林友ホールに会見場を設けた。支持者ら約60人が午後８時ころから、続々と詰めかけ、開票結果を見守った。10時40分ころ、阿部氏の当確が伝えられると、松本氏が会場入りし、長い選挙戦をねぎらう大きな拍手で迎えられた。松本氏は「訴えてきた政策に、間違いはないと思っている。県民に広められず申し訳ない」と述べ、今後について「県政を見守り、文章などを通じて意見したい」と話した。