2014年11月25日(火)付

広がる支援の輪体制急務 神城断層地震住民ニーズ把握を
 県北部を震源とする「長野県神城断層地震」で、震度5強を観測した白馬村では24日現在、住宅が倒壊したり、避難指示を受けた住民ら約200人が、村保健福祉ふれあいセンターに避難している。一刻も早い被災者の生活再建が求められるなか、住民のニーズを把握し支援活動と結びつける、体制づくりが急務となっている。
 被災者に対しては八方尾根開発が運営する温泉施設を無料で開放。食料物資なども村役場に届けられている。支援の輪が広がる一方で、災害対策本部内に被災者への支援活動や情報発信を統括する部署がまだない。被災者は「物資は足りているが。生活再建に向けた情報がほしい。冬が来る前に見通しが立てば」と話した。
 村社会福祉協議会は同日、ボランティアを統括する災害ボランティアセンターを村役場多目的ホールに立ち上げた。
地元高校生が地域想いボラ参加
 村内在住で大町高校や大町北高校に通う女子生徒4人は24日、「大好きな地元のために何かしたい」と自主的に災害ボランティア活動に参加した。
 この日は、避難所になっている公共施設のトイレ掃除や各地から集まってきた支援物資の仕分けや運び出し作業などに打ち込んでいた。
 4人の自宅も多少の被害を受けた。にもかかわらず「地元の窮地のために役立ちたい」と、自身ではなく地域を優先させた高校生の決意に、周囲からは感謝の言葉が寄せられた。
 4人は「友だちに声をかけながら、時間を見つけてはボランティアに参加していきたい。避難している村民の不安解消につながれば」と話す。
安倍首相が被災地訪問

 安倍晋三首相は同日、白馬村を訪れ、被害が集中した堀之内地区などを視察した。村役場で阿部守一知事ら地元関係者と会談。阿部知事が白馬・小谷・小川村3村長と連名で、早期復興などを求める要望書を安倍首相に手渡した。
 12月中生活の場提供へ 白馬下川村長考え示す
 白馬村の下川正剛村長は24日、全壊・半壊など今回の地震で住む場所を失った被災者支援として、12月中をめどに生活の場を提供していく考えを示した。「避難生活を余儀なくされる村民が、安心して暮らせる体制をつくることが先決」と話した。
 同村は、生活の場提供は、家を失った被災者を主に考えており、村内宿泊業者の協力も視野に村営住宅や教員住宅など宿泊可能な設備が整う公共施設の空き状況把握など進めるとしている。
 下川村長は「あらゆる可能性の模索を急ぐ」と被災者の生活を第一に考えた対策に積極的な姿勢を見せる。
 村内では24日正午現在、堀之内・三日市場を中心に住宅27戸が全壊、58戸が一部損壊となっている。
あたたかい食で被災者見舞い
 村内の神城・北城両婦人会は24日、特製カレーで被災者を見舞った。両会長らは「あたたかい食で被災者たちを元気付けたい」と料理に腕を奮った。
 役場に隣接する施設調理室にはスパイスの香りが漂った。村からの提供や婦人会メンバーが持ち寄った食材を使い250人分を調理した。ふれあいセンターで避難生活を余儀なくされる村民と、被害が大きかった地域に出向き、できたての具だくさんカレーを届けた。
 両婦人会は連日、当番制をとりながら避難者の食事にあわせ汁物を中心に振る舞っている。「できる範囲ではありますが、被災者支援のために全力で協力していきたい」と話す。
 空き巣や盗難懸念対応呼びかけ

 白馬村内で懸念されている被災家屋への空き巣や盗難被害には、県警の管区機動隊や自動車警ら隊が入村し、パトカーなどで警戒にあたっている。大町署によると、現在は被害の届け出はなく、住民には、家屋が倒壊していない場合は戸締りの徹底やドアが閉まらないなどの場合には目張りするなど対応を呼びかけている。
大町市内の被害状況の対応

 大町市は、建設課を主体に、美麻地区を中心として市内全域のクラック(亀裂やひび)など道路状況の確認や、大町市建築士会による家屋などの亀裂など被害の危険度判定を行っている。
 美麻地区で起きている上下水道の断水には市の給水車で対応。大町市災害対策本部によると、市内では、住めなくなるような倒壊などの被害のある家屋はないが、家具などが散乱したため自主的に親戚の家などに避難している世帯もあるという。
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