「こどもと健康」  市民のための健康講座




 お子さんの具合が急に悪くなったとき、まわりの大人はどうすればいいのでしょうか。子どもが病気かもしれないとなると「大変、どうしましょう」となってしまいます。まず落ち着いて、お子さんの様子が普段とどう違うのかを見ましょう。
症状が出たときは、まずは家族に具合が悪い人はいないか、お友達に同じような人がいないか、どこかに出かけてきたか、頭を打ったりしていないかなど、いつもと違うことを思い出してください。



よくある症状


 セキが止まらない場合、煙やペットなどの刺激になるものや、部屋の温度や乾燥に気をつけましょう。声がかれたときは、まず乾燥をさけ、湯気や霧吹きを吸わせてみる。お風呂場で大人が抱いて湯気を吸わせてあげるのは便利なやり方です。吐いてしまうときは飲めたら水を飲ませ、しばらくおなかを休ませましょう。
 何かを飲み込んだときは、横抱きにして、指でのどの奥を刺激して吐かせましょう。体格によって、うつぶせにして手のひらで胸からおなかを支えたり、後ろから抱え込んでおなかを圧迫する−などしてみましょう。



熱があるとき


 よく見られる症状の筆頭は発熱です。子どもが熱を出したとき、まず水分を与え、服装を薄めにしたり、部屋を涼しい環境にしてみましょう。熱の上がりはじめで寒がっていたら、服を着せてあげましょう。
熱は身体の防御機能が正常に働いているということ。原因がなくならなければ無理に熱を下げる必要はありません。元気で機嫌がよければ、むやみに熱ざましを使う必要はありません。強い熱ざましで病気以上に副作用でひどくなることがあります。副作用の強い成分が市販の有名な風邪薬などに含まれていることがあるので注意が必要です。
 熱性けいれんというものがあります。小さい子ではそんなに珍しいことではなく、急に熱が上がったときにおこります。体を硬くし、その後手足をピクピク・がくがくと動かし。呼吸が荒くなったり、止まったりします。
びっくりしますが、大声で呼んだり体を揺さぶったりしないでください。30秒くらい見守っていると、自然に呼吸をもどします。長い時間ですが、見守ってあげて。
もしけいれんを起こしたら、横向きに寝かせて、衣服を緩めます。余裕があれば、目がどこを向いているか、手足の動きの左右差がないか、眠った時間や、どのくらいで気がつくか見てください。



病気や事故に備えて


呼吸止まったら


 めったにありませんが、本当に呼吸が止まったら。子どもは大人と違い、呼吸が先に止まってから心臓が止まることが多い。なにより呼吸が大事なので、まずその場で人工呼吸で蘇生(そせい)を始めてから、助けを呼びましょう。
 まず気道を確保します。平らなところに寝かせ、頭を後ろにそらせあごの先を持ち上げる。息を聞いたり、手のひらやほおで息をしているか確かめます。
もし息をしていなければ、口もしくは口と鼻に、自分の口で息を2回吹き込みます。人工呼吸をしても咳き込んだり体を動かしたりしなければ、心臓マッサージと人工呼吸を1分行ってから、ほかの人や救急車を呼んでください。その後も続けてください。
人工呼吸は思ったより難しくない。あんまり怖がらないで。時々講習会もありますので、一回やってみるだけでも違います。



不慮の事故


 子どもの死因1位は不慮の事故。もっとも大きな割合は交通事故で、乳幼児の死亡率は高く改善の余地があります。チャイルドシートやヘルメットを適切に使いましょう。
浴槽での溺水、窓からの転落などもあり、2歳になるまで子どもだけで入浴させない、ベランダや窓のそばに、踏み台になるものを置かないなど気をつけましょう。クーハン(かご)や歩行器、ショッピングカートなどはなるべく使用しない。使う場合はベルトで固定しましょう。
 誤飲や窒息に対しては、小さく飲み込みやすいものは床から1b以上の高さに置く、飲み物の容器に食品以外を入れない。公園で遊ぶときは、かばんや輪になったひも状のものは身に着けない。小さな食べ物を放り上げて口で受けるような食べ方をさせないようにしましょう。
 子どもは発達がめざましく、昨日できなかったことが今日できるようになり、そのために事故が起きる場合があります。安全のため、家の中や赤ちゃんの様子を思い出し、月に1度確かめましょう。
 子どもが健康を損なわずに育っていくように見守るのは周りの大人たちの役目です。





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