目の病気 治療の知識を
市民のための健康講座



永井眼科医院 鳥海智子医師


 五感を代表する視覚をつかさどる目。病気で物を見るという機能が損なわれる場合があり、病気と治療に関する基礎知識を身に着けることは大切だ。このほど大糸タイムス友の会、大町市、大北医師会、大糸タイムスが主催した「市民のための健康講座」で、永井眼科医院・鳥海智子医師が講演した要旨を採録した。




 目は小さな器官ですが、物を見るという大変重要な役割を持っています。たくさんの病気がありますが、日ごろよく見る白内障、緑内障、網膜剥離について、原因・治療・予防策をお話しします。
光は角膜を前房と呼ばれる房水の入った隙間を通り、水晶体というレンズを通り抜けて、透明なゼリーのような硝子体を抜けて、神経の膜・網膜に届きます。目は神経で脳につながり、脳梗塞などでそこに障害があって見えなくなることもある。見えなくなっても必ずしも目の病気でない場合もあります。




レンズが濁る白内障


 白内障というのは、水晶体というレンズににごりが出てくる病気。全世界では未だに中途失明の第1位となっている病気ですが、幸い文明国日本では手術が受けられ、治る病気となっている。症状は二重三重に物が見える、明るいところでものが見にくい、かすんで見えるなど。一時的にレンズの厚みが増し、近くのものが見えたりメガネが合わなくなったりします。

 主な原因は、一番は加齢。年齢を増すに従い患者数は多くなります。40歳以上の人の30%、年々増えて80歳以上は98%と、ほとんどの人に発症する。糖尿病の方や炎症を抑えるステロイド剤を使っている人、強度近視の人に白内障は起こりやすい。放射線も明らかに影響があるそうですが、日常生活ではそれほど気にすることはない。


眼の構造=白内障は水晶体が濁り、緑内障は房水の圧が高まり神経を痛め、網膜剥離は網膜に傷がつきはがれる





 治療において、目薬は初期には有効性があるが、ある程度進めば、原因に関わらず手術を選択します。人口の水晶体「眼内レンズ」に入れ替える。
現代では見え方の質が問われる時代。見え方の不都合が出たら手術すればいい。視力が1・0でも、車のライトがまぶしいなど、気になることが出てきたら相談し、手術に踏み切っていい。不自由を感じなければしなくてもいいのでは。
 手術は、自分の目の濁った水晶体の代わりに眼内レンズ(人工水晶体)を入れてピントが合うようにする。昔と比べ見え方もよくなり、わずらわしさもなくなった。最近は3_程度の小さな傷口でよい、折りたたみ式の眼内レンズが主流です。
 予防策として、紫外線対策・禁煙・過剰飲酒を避ける、といったことが有効。特に強度近視・糖尿病・ステロイド使用中、といったハイリスクの人は、サングラスなど手軽にできる予防法から始めるとよい。




眼圧で神経傷める緑内障

 眼の圧力・眼圧で視神経が傷つき、視野が狭くなる病気です。日本人の中途失明の原因では第1位。40歳以上の20人に1人と言われ、決して珍しい病気ではありません。眼球は空気の入ったボールのように張りがある。眼の前方の圧が硝子体を通して目の後ろにかかり、慢性的に網膜を圧迫し、視神経が痛む病気です。
 なぜ眼圧が上がるかというと、前房の房水の流れが悪く抵抗が高いということ。房水の出口・隅角が広いか狭いかで治療法も変わります。なんらかの原因で隅角が閉じてしまい、眼圧が急上昇、頭痛や吐き気などの発作が出る人がいる。早く対処しないと緑内障となり、神経が痛むと視野が異常となる。
 症状は視野の異常。末期になると視力も落ちる。初期は自覚症状がなく気づかないことも多く、末期になってやっと気づくこともあります。どうやって初期を見つけるか。検診(眼底検査)が有効。視神経のくぼみを見つける。眼圧検査、眼底検査、視野検査、隅角検査、OCT(光鑑賞断層系)を総合して診断する。
 治療は眼圧を下げること。いったん傷んだ視神経の回復は難しく、痛みの進行を押さえるのが目的。まずは点眼薬で、緑内障である以上はずっと継続します。治療を中断したら視野狭窄が進む場合がある。継続した治療が大事。
 いったん傷ついた神経は治らず、早期発見早期治療が大事。そのためには検診が有効。チェックシートを試してみてください。盲点以外が消えるとき、もしかして緑内障かもしれません。




網膜剥離



 網膜剥離は急に起こり、治療しないと短期間に必ず失明する。治療は手術だけ。非常に怖い病気というイメージがあります。自覚症状として飛蚊症、目の中で光って見える光視症、視野欠損、視力低下などがあります。剥離する前の、網膜裂孔の段階で見つけられれば、レーザー手術で剥離は防げます。原因を調べるためには瞳孔を広げる目薬を差して詳しい眼底検査を。裂孔の段階で見つけられれば良いが、剥離となると治療が大変です。
網膜剥離にかかった反対の眼や、近視の人、白内障手術を受けた人、家族に網膜剥離がいる人、アトピー性皮膚炎の人などがなりやすい。
 今の治療は、眼球内からのアプローチが主流。硝子体からガスを入れ、穴を上にしてガスの力で穴を押さえて治します。白内障が起こるので、必ず眼内レンズの手術を同時に行います。入院は2週間ほど。術後の経過は、どれだけ網膜の中心・黄班部の機能がどれだけ残っているか。手術までの期間で視力は決まります。
 網膜剥離は放置すると失明に至るため発見されたらできるだけ早い手術が必要となる。前段階である網膜裂孔は、飛蚊症の自覚症状で見つかることが多く、かなりの確率でレーザー手術で治療可能です。飛蚊症が急に出た場合は、詳しい眼底検査を受けるとよいでしょう。






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